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 平成20年7月4日、最高裁判所第二小法廷において、セブンイレブンに対するいわゆる領収書開示請求訴訟についての判決が出されました。
  同判決について、主任弁護士を務めた中村昌典弁護士のコメントを紹介します。
 最高裁判所の判決内容は以下のページで閲覧可能です。
 最高裁判所第二小法廷平成20年7月4日判決(PDF)


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最高裁第2小法廷係属に係属していた平成19年(受)第1401号書類引渡等、請求書引渡等請求上告事件につき、平成20年7月4日、判決が言い渡された。セブン−イレブン加盟店オーナーのセブン−イレブン本部に対する請求を棄却した控訴審判決を破棄し、東京高裁に差し戻すというものである。


  本件は、加盟店オーナーが一定期間(平成17年3月1日から6ヶ月間)分の、仕入先各3社から仕入れた商品の決済についての、月単位での支払内容の詳細(支払先・支払日・支払金額・商品名及び単価・個数、仕入値引高の内容)の報告をセブン−イレブン本部に求めたものである。
加盟店オーナーは、仕入先から、自ら商品を仕入れて、代金を支払っているのに、それらの請求書や領収書を誰からも(セブン−イレブンからも各仕入業者からも)受け取っていない。そのため、個別の商品につき、実質的にいくらで仕入れることができたのか、それがいつ仕入先に現実に支払われて決済されたのかを知ることができない。セブン−イレブン本部は問屋ではなく、加盟店との売買契約の当事者ではない。しかし、商品代金の決済については、加盟店がセブン−イレブン本部に日々預けさせられる売上金から、セブン−イレブン本部が一括して支払いを代行している。決済を代行しているからといって、売買契約の当事者が加盟店オーナーであることに違いはなく、個別の決済の内容を加盟店オーナーが知ることができないというのは「独立の事業者」たることの否定に他ならない。かかる仕組みは、オーナーからみるとブラックボックスであり、たとえ本部による「中抜き」のようなことが行なわたとしても、それを検証したり是正したりする手段もなかったのである。

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本件では報告の根拠を、フランチャイズ契約36条の本部が加盟店に交付すべき「資料」にこれらが含まれるべきこと(契約上の根拠)、領収書や請求書の交付は商慣習法となっていること、民法の準委任契約における受任者の報告義務の3点に求めて、に法的根拠を求めて、上記報告を求めたところ、最高裁は、準委任契約における受任者の報告義務について判断したものである。
判決は仕入代金の支払いに関する事務の委託は準委任(民法656条)の性質を有するとした上で、「商品の仕入は加盟店の経営の根幹をなすものであり、加盟店経営者が独立の事業者として仕入代金の支払いについて具体的内容を知りたいと考えるのは当然」とまさに正しく、支払代行の意味について理解を示し、「本件発注システムによる仕入代金の支払いに関する被上告人から加盟店経営者への報告について本件契約に何らの定めがないからといって、受任者の報告義務(民法656条、645条)が認められない理由はない」ので「被上告人は、本件基本契約に基づき、上告人らの求めに応じて本件報告をする義務を負う。」と判示したものである。

 この判示は極めて正当であり、フランチャイズ契約条項上明文の規定がなくとも、本部に受任者の報告義務に関する民法の適用がある、という基本的な法適用原則を確認したところに意義があると評価できる。
これまでセブン−イレブン本部は、フランチャイズ契約に民法の適用がない等と主張し、また、原審判決もそれに沿った判断をしていたものであるから、本件判決が今後のフランチャイズ訴訟に与える影響も少なくない。

 報告義務を負うべき本件報告の具体的内容について、原審差し戻しとなったが、報告義務があることは本件判決が明示しているものであり、あとは単に技術的な議論のみが残っているというべきであるから、加盟店のほぼ全面勝訴といって良いだろう。

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本件判決の内容は、セブン−イレブン本部に留まらず、受任者の報告義務という論理は他のコンビニ本部にも当然に適用されるものである。他のコンビニ本部も、仕入代金の決済の詳細をオーナーに報告する義務があるといえる。
現役オーナーは、本件最高裁判決を援用し、疑問に思う商品の仕入があれば、店舗指導員に決済の詳細を問い合わせる権利があるのであり、現場でもどんどん実践されたらよいと思われる。







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